代表 山本忍のコラム

Amazing Journal

「その反応、本当にあなたが選んでいますか?」  ― 仕事の判断力と人間関係を変えるマインドフルネス ―

「その反応、本当にあなたが選んでいますか?」 ― 仕事の判断力と人間関係を変えるマインドフルネス ―

仕事をしていると、私たちは毎日たくさんの「判断」と「選択」をしています。

上司から予想外のことを言われた。

部下からミスの報告を受けた。

お客様から厳しい言葉をいただいた。

会議で自分とは違う意見が出た。

そんな瞬間、思わず、

「どうしてそんなことをしたの?」

「それは無理でしょう」

「普通はこうするよね」

と反応してしまった経験はありませんか?

私にもあります。

そして後になって、

「あんな言い方をしなくてもよかったな」

と思うこともあります。

私たちは「自分で判断している」と思っていても、実は過去の経験や思い込み、その瞬間の感情によって、反射的に「反応」していることがあります。

だからこそ、私はときどき自分自身に問いかけます。

「その反応、本当に私が選んだもの?」

マインドフルネスは「心を無にすること」ではない

「マインドフルネス」と聞くと、

「瞑想すること?」

「心を無にすること?」

「リラックスするためのもの?」

というイメージを持つ方も多いかもしれません。

マインドフルネスとは、簡単に言えば、

「今、この瞬間に意識を向け、自分の状態に気づくこと」

です。

何も考えなくなることではありません。

むしろ、

「今、私は何を考えている?」

「今、私は何を感じている?」

と、自分自身に気づくことです。

「私は今、焦っている」

「この人の言葉に腹が立っている」

「失敗することを怖がっている」

「自分の意見を否定されたように感じている」

まず、それに気づく。

良い・悪いと評価する必要はありません。

「ああ、私は今こう感じているんだな」

と、自分の状態を捉える。

ここからマインドフルネスは始まります。

仕事を変えるのは「反応」と「行動」の間にある小さな余白

誰かの一言にイラッとした。

予想外のトラブルが起きた。

自分の思い通りにならなかった。

そんなとき、感情のまま反応する前に、ほんの少しだけ余白をつくってみる。

一度、呼吸に意識を向ける。

そして、

「私は今、何に反応しているんだろう?」

と自分に問いかけてみる。

ここで大切なのが、私がよくお伝えしている、

「主語を自分にする」

という考え方です。

「あの人は、どうしてわかってくれないの?」

から、

「私はなぜ、あの人がわかってくれないことが、こんなに気になるんだろう?」

へ。

「どうして部下は動かないの?」

から、

「私はなぜ、部下が自分の思い通りに動かないことに、こんなに苛立っているんだろう?」

へ。

矢印を相手ではなく、一度自分に戻してみる。

すると、

「自分の考えを否定されたように感じたのかもしれない」

「結果を急いで焦っていたのかもしれない」

「本当は、自分自身が不安だったのかもしれない」

と、それまで見えていなかった自分に気づくことがあります。

自分に気づくと、「反応」ではなく「選択」ができる

自分の感情に気づいたら、次に問いかけます。

「では、私はどうしたい?」

ここで初めて、「反応」から「選択」へ変わります。

たとえば、部下からミスの報告を受けたとき。

「どうしてこんなことになったの!」

と反射的に責めるのか。

一度自分の焦りに気づいて、

「まず状況を整理しよう。何があったか教えて」

と伝えるのか。

会議で反対意見が出たとき。

「それは無理でしょう」

とすぐに否定するのか。

「なぜそう考えたのか、もう少し聞かせて」

と尋ねるのか。

起きている出来事は同じです。

でも、自分の状態に気づくことで、次の言葉と行動を選べるようになります。

私は、ここにマインドフルネスを仕事に取り入れる大きな意味があると考えています。

リーダーの「反応」が、組織の空気をつくる

特に、経営者や管理職など人を動かす立場にある方ほど、この「反応」は重要になります。

部下が勇気を出して、

「失敗しました」

「わかりません」

「私は違うと思います」

と伝えてきたとき、上司が最初にどんな反応をするか。

「なんで?」

「そんなこともわからないの?」

と返されたら、次からは、

「もう言わないでおこう」

と思うかもしれません。

反対に、

「話してくれてありがとう」

「まず状況を一緒に整理しよう」

と受け止めてもらえれば、

「ここでは伝えても大丈夫なんだ」

という安心につながります。

これは、心理的安全性にも関わる大切なポイントです。

心理的安全性は、制度だけでつくられるものではありません。

日々交わされる一言。

表情。

聴き方。

そして、予想外の出来事が起きたときの「反応」。

その積み重ねが、職場の空気をつくっています。

「物の観方を味方にする」と、仕事の選択肢が増える

私はこれまで、

「物の観方を、味方にする。」

ということを大切にしてきました。

たとえば、上司から厳しい指摘を受けたとき。

「自分は評価されていない」

と捉えることもできます。

一方で、

「自分に期待しているから伝えてくれたのかもしれない」

「ここに成長するヒントがあるかもしれない」

という観方もできます。

もちろん、何でも無理にポジティブに捉える必要はありません。

大切なのは、

ひとつの物の観方だけにとらわれないこと。

そのためにも、

「私は今、この出来事をどう捉えている?」

と自分自身に気づくことが必要です。

マインドフルネスは、そのための土台になります。

忙しいビジネスパーソンほど「今ここ」に戻る

仕事をしていると、頭の中は常に忙しく動いています。

昨日の失敗。

今日の仕事。

来月の数字。

人間関係。

これからのキャリア。

身体は目の前の人と話しているのに、頭の中では別のことを考えている。

そんなこともあります。

だからこそ、ときどき「今ここ」に戻る。

呼吸に気づく。

目の前の人の話を聴く。

自分の感情に気づく。

そして、

「今、この瞬間に、自分が選べることは何だろう?」

と考える。

マインドフルネスは、忙しさから逃げるためのものではありません。

忙しい毎日の中でも、自分自身に戻り、よりよい判断と行動を選ぶための習慣。

私は、そう捉えています。

「反応する自分」から「選択できる自分」へ

仕事でも人生でも、すべてを思い通りにすることはできません。

人も変えられない。

過去も変えられない。

予想外のことも起こります。

でも、

その出来事に対して、自分が次に何を選ぶか。

そこには、自分の意思を取り戻すことができます。

今の自分に気づく。

「なぜ私は、そう感じている?」と主語を自分にする。

物の観方を増やす。

「私はどうしたい?」と自分の言葉で考える。

そして、自分で決める。

決めたら、動く。

この小さな積み重ねが、判断を変え、人との関係を変え、やがて仕事の成果や組織のあり方にもつながっていきます。

私にとってマインドフルネスとは、単に心を静かにするためのものではありません。

「反応する自分」から、「選択できる自分」へ変わるためのトレーニング。

次に、仕事で心が大きく動いた瞬間。

すぐに言葉を返す前に、ほんの少しだけ自分に問いかけてみてください。

「今、私は何に反応している?」

そして、

「本当は、私はどうしたい?」

その小さな「余白」が、あなたの次の判断を変えるかもしれません。