「会社がもっと○○してくれたら」
「上司がわかってくれない」
「家族がこうだから」
「あの人さえ変わってくれたら」
私たちは、物事がうまくいかないとき、無意識のうちに「自分以外」を主語にして考えてしまうことがあります。
もちろん、本当に相手に問題があることもあります。
自分では変えられない環境や、理不尽な出来事だってあります。
それでも私は、何かに心が揺れたときほど大切にしている問いがあります。
それは、
「私は、なぜこのことがこんなに気になるんだろう?」
という問いです。
「主語を自分にする」とは、出来事を自分の内側から見てみること
たとえば、
「あの人は、どうして私のことをわかってくれないんだろう」
と思ったとします。
そこで、
「あの人が悪い」
「あの人が変わればいい」
だけで終わらせるのではなく、
「私はなぜ、あの人がわかってくれないことが、こんなに気になるんだろう?」
と、自分に問いかけてみる。
すると、
「私は、認めてもらいたかったんだ」
「本当は寂しかったんだ」
「自分の考えを否定されたように感じたんだ」
「私は昔から、“わかってもらえないこと”に強く反応するのかもしれない」
そんな、自分でも気づいていなかった感情や思考のクセが見えてくることがあります。
これが、私の考える
「主語を自分にする」
ということです。
相手の言動を分析する前に、
「その出来事を、私はどう受け取ったのか」
に意識を向けてみる。
出来事の主語を「相手」から「私」に戻すことで、自分自身を知ることができます。
「主語を自分にする」は、自分を責めることではない
ここは、とても大切です。
「主語を自分にする」というのは、
「全部、自分が悪い」
と考えることではありません。
相手の問題まで、自分が背負うことでもありません。
むしろ、
「相手がどうだったか」と「私はどう感じたか」を分けて考えること。
相手の言動は、相手のもの。
でも、それによって生まれた自分の感情は、自分自身を知るための大切なサインです。
だから、
「どうしてあの人は!」
と外側に向いていた矢印を、一度だけ自分に戻してみる。
「私は、なぜこんなに腹が立ったんだろう?」
「私は、何をわかってほしかったんだろう?」
「私は、本当は何を大切にしたかったんだろう?」
こうして自分に問いかけることで、「怒り」や「不満」の奥に隠れていた本当の気持ちに気づけることがあります。
物の観方を味方にすると、選択肢が増える
私は、
「物の観方を、味方にする。」
ということを大切にしています。
起きた出来事そのものは変えられません。
でも、その出来事をどう捉えるかは変えることができます。
「あの人がわかってくれない」
という出来事を、
「私はなぜ、わかってもらうことをこんなに必要としているんだろう?」
と捉え直してみる。
すると、問題だったはずの出来事が、
「自分を知るためのきっかけ」
に変わります。
私は、これが「物の観方を味方にする」ということのひとつだと思っています。
自分を知ると、「私はどうしたい?」が見えてくる
自分の本当の感情に気づいたら、次に問いかけます。
「では、私はどうしたい?」
ここから、未来へ向かう問いに変わります。
「わかってほしかった」と気づいたなら、
「私は、自分の気持ちをちゃんと言葉にしてみよう」
でもいい。
「認めてもらいたかった」と気づいたなら、
「人から認めてもらう前に、私は自分の頑張りを認めてあげよう」
でもいい。
あるいは、
「この関係から少し距離を置こう」
という選択かもしれません。
正解はひとつではありません。
大切なのは、
自分の本当の気持ちに気づいたうえで、自分で選ぶこと。
自分の言葉で言語化すると、「決める」が始まる
「なんとなく嫌」
「なんとなく苦しい」
「なんとなく変わりたい」
その「なんとなく」を、自分の言葉にしてみる。
私は何が嫌だった?
私は何を怖がっている?
私は本当はどうしてほしかった?
そして、
私は、これからどうしたい?
言葉にできると、感情に振り回されていた自分から、選択できる自分へ少しずつ変わっていきます。
そして、
気づく → 言語化する → 決める → 行動する
という流れが生まれます。
「決めたら、動く。」
考えることも大事。
悩むことも必要です。
でも、どれだけ自分の内側に気づいても、そこで終わってしまえば現実は変わりません。
だから私は、
「決めたら、動く。」
を大切にしています。
大きな一歩でなくていい。
自分の気持ちを伝えてみる。
誰かに相談する。
距離を置いてみる。
新しい場所へ行ってみる。
昨日とは違う選択を、ひとつしてみる。
その小さな行動が、次の現実をつくっていきます。
組織でも「主語を自分にする」と、対話が変わる
これは、個人の人生だけの話ではありません。
職場でも、
「上司がわかってくれない」
「部下が動いてくれない」
「会社が何もしてくれない」
という言葉はよく聞きます。
そんなとき、
「なぜ私は、部下が動かないことにこんなに苛立っているんだろう?」
「なぜ私は、上司に認めてもらうことをこんなに求めているんだろう?」
「私は、この会社に本当は何を期待しているんだろう?」
と、一度主語を自分に戻してみる。
すると、相手を責めるだけだった会話から、
「では、自分はどう関わろう?」
という対話へ変わっていきます。
自分を理解できる人は、相手との違いにも少しずつ余白を持てるようになります。
その積み重ねが、心理的安全性や主体性のある組織づくりにもつながっていくのだと思います。
人生逆転は、「主語」を取り戻すところから始まる
過去は変えられません。
他人も、自分の思い通りにはできません。
でも、
その出来事をどう受け取り、これからどう生きるかは、自分で選ぶことができます。
「どうしてあの人は?」
から、
「私は、なぜそう感じるんだろう?」
へ。
そして、
「私は、本当はどうしたい?」
へ。
物の観方を味方にする。
自分の感情に気づく。
自分の言葉で言語化する。
自分で決める。
そして、
決めたら、動く。
私は、人生逆転とは、この「主語を自分に戻す」ことから始まるのだと思っています。
もし今日、誰かの言葉や行動に心が揺れたなら。
相手を変えようとする前に、ほんの少しだけ自分に問いかけてみてください。
「私は、なぜこのことが気になるんだろう?」
その問いの先に、まだ自分でも知らなかった「本当の自分」がいるかもしれません。